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backward [青赤喜「怒」哀楽]

この日も選手たちはまるでラガーマンのように戦った。怪我を恐れることなく勇猛果敢に相手にぶつかっていったという意味ではない。目指すべきゴールは常に前方にあるというのに、ボールは横に転がり、後方に戻される。僕の記憶が確かならば、このスポーツにはノックオンというルールはなかったはずだ。

セットプレーから「オウンゴール」で幸先良く先制したものの、残り時間すべては我慢比べだった。我慢比べといっても芝生の上ではなく、親子の間で展開される駆け引きだった。早々に飽いて、飲食店やグッズ売場方面へ「散歩」に行きたがる息子を止められない父親。我慢して着席させるには忍びなかった。

それはまるで初期のロールプレイングゲーム。わずかに限られた選択肢しか与えられていないが如く、判で押したようなパターンの繰り返し。スタンドで観る者にも数秒後の展開が予見できるのだから、対峙する相手はさぞかし対処しやすかったことであろう。頼みの綱・前田遼一が投入されても変化は起きず。

弁解の余地なき失策。甲府側のコメントによると、最終ラインからのビルドアップが不安定であることは十二分に周知されていた模様。忌々しい代表監督の目利きが正しかったことを間接的に証明されたようで、腹立たしいことこの上ない。戦績にも集客にもプラスの影響を見出せない、代表とはいったい何か。

この日は家族観戦仕様、バックスタンド側のコーナー付近から試合を見守った。名誉挽回を期した田邉草民のシュートに胸を躍らせるには最良の角度だったか。瞬時に立ち上がり、事態を把握するまでの一秒半だけ幸福だった。やっぱりとがっくりの交差点、その中心で、僕は力なく座り込んだまま天を仰いだ。



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