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手の届く幸せ [青赤「喜」怒哀楽]

競技に挑む者たちと、それを支援する者たちと。限りなく無駄を省いた方形の箱に収められた水曜夜、一万余の人々。ワールドカップ後のリーグ再開は、この上ない臨場感を堪能できる柏日立台の専用競技場から。小川諒也が右SBとしてプレーする不可思議な光景が、手を伸ばせば届きそうな先で展開された。

「飛車角」に加え、さらに数枚を落とした感のある布陣。それでも一手一手が誠実で、厳粛で、実直だった。『バチン』怖れず身体をぶつける際の震動が、気持ちを込めて指す駒が盤を叩く音に重なった。東慶悟はその技巧と献身を交互に見せつけ、高萩洋次郎はベンチへ退いた後もなお闘志を露わにしていた。

とりわけ精力的に盤上を動き回る駒があった。棋譜には米本拓司の名がびっしりと並ぶ。身体を投げ出し危険の芽を摘み取る、真骨頂といえる場面が幾度も見られた。心揺さぶられる一挙手一投足、うだる暑さを忘れさせてくれる熱さ。画面越しに眺める煌びやかなショーケースより、僕はこちらの方が好きだ。


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