SSブログ
青赤喜「怒」哀楽 ブログトップ

backward [青赤喜「怒」哀楽]

この日も選手たちはまるでラガーマンのように戦った。怪我を恐れることなく勇猛果敢に相手にぶつかっていったという意味ではない。目指すべきゴールは常に前方にあるというのに、ボールは横に転がり、後方に戻される。僕の記憶が確かならば、このスポーツにはノックオンというルールはなかったはずだ。

セットプレーから「オウンゴール」で幸先良く先制したものの、残り時間すべては我慢比べだった。我慢比べといっても芝生の上ではなく、親子の間で展開される駆け引きだった。早々に飽いて、飲食店やグッズ売場方面へ「散歩」に行きたがる息子を止められない父親。我慢して着席させるには忍びなかった。

それはまるで初期のロールプレイングゲーム。わずかに限られた選択肢しか与えられていないが如く、判で押したようなパターンの繰り返し。スタンドで観る者にも数秒後の展開が予見できるのだから、対峙する相手はさぞかし対処しやすかったことであろう。頼みの綱・前田遼一が投入されても変化は起きず。

弁解の余地なき失策。甲府側のコメントによると、最終ラインからのビルドアップが不安定であることは十二分に周知されていた模様。忌々しい代表監督の目利きが正しかったことを間接的に証明されたようで、腹立たしいことこの上ない。戦績にも集客にもプラスの影響を見出せない、代表とはいったい何か。

この日は家族観戦仕様、バックスタンド側のコーナー付近から試合を見守った。名誉挽回を期した田邉草民のシュートに胸を躍らせるには最良の角度だったか。瞬時に立ち上がり、事態を把握するまでの一秒半だけ幸福だった。やっぱりとがっくりの交差点、その中心で、僕は力なく座り込んだまま天を仰いだ。



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:blog

負けるべくして [青赤喜「怒」哀楽]

試合開始前の選手紹介。外国人選手と数名の選手にそこそこのブーイングが発生する程度。随分とメンバーが入れ替わったものだ。聞き覚えのない名がずらりと並ぶ柏だったが、試合を常に支配していたのはそんな彼らだった。あまり流行り言葉を使いたくないのだが「デュエル」で東京は完全に劣後していた。

身体をぶつけあう局地戦の場面で東京はことごとく力負けしていた。積極的に走る柏、両サイドでは複数で襲いかかる。変調を強いられ攻撃の芽を摘まれ続けた東京は、敵に背を向け横・後方へのパスを繰り返すに至る。目的を見出せないまま転がるボールに「責任転嫁」の四文字が刻印されているのが見えた。

これでは勝負にならない。いくら足下の技術があっても、それを活かす舞台が次々と破壊されてゆく。柏は競技以前の「戦い」を制することで終始東京を圧倒した。遠近感も手伝って遠目には林彰洋の半分くらいのサイズに思えた小柄なFWがその象徴。精力的な「ちょこまか」は試合終了まで失速しなかった。

早々に全てのカードが切られたが、積極的な采配とは裏腹に、交代選手は悠然と歩みを進める。柏が同じ状況に置かれたら、猛然と駆けてピッチを後にしていたのではなかろうか。ネームバリューやプライスタグで勝てるほど甘くない、それ以前の段階で敗者の敗者たる所以を感じさせる立ち振る舞いであった。


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:blog

狙撃手への役割期待 [青赤喜「怒」哀楽]

ネットの内側は一億総風紀委員の様相を呈している。苛立ちを露わにして、脱いだユニフォームを蹴った。これ即ち、誇り高きエンブレムを足蹴にしたのと同義である、ケシカラン。それがどうしたというヤツである。彼の行動そのものを礼讃するつもりは毛頭ないが、問題はそこにあるのか?という話である。

喧嘩上等、異分子歓迎。彼に期待する役割はまさにこういうことではなかったのか。吹田でここまで怒りと悔しさを爆発させた選手が他にどれだけいたか。往々にして電網世界の風紀委員各位は想像力と読解力に欠けるきらいがあるのでもう一度書かせて頂くが、所作そのものを好意的に受け取るものではない。

極論するとクラブへの忠誠心など二の次なのである。その実績を買われ招かれた傭兵、戦場のスペシャリストに行儀作法を期待するのは筋違いだろう。求められるは「依頼者との約束は必ず守る」という信条と、その実践のみ。「13 Thirteen」を背負いし狙撃手に妥協は要らない、笑顔も要らない。



タグ:大久保嘉人
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:blog
青赤喜「怒」哀楽 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。