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青赤喜怒「哀」楽 ブログトップ

like a stepping-stone [青赤喜怒「哀」楽]

かたやゴールから遠ざかっていた停滞期にピリオドを打った男。かたやキャリアの大きな分岐点から偉大なる一歩を踏み出す男。共にチームメイトやスタッフの支えに感謝の意を表する他、神のご加護へ触れたディエゴ・オリヴェイラに対して、久保建英の言葉に驚嘆させられた。『自分の力もあり』と言った。

自己を喧伝するわけでなく、虚勢を張るわけでもなく。心拍数を上げず、ごく自然に言い放たれた語に改めて畏怖の念を(そして色々な意味で劣等感を)抱かされた。思い極まっての落涙、その涙を隠すためのサングラスとも無縁。想定内の里程標を一つ越えるだけ。雨中を涼やかに白いシャツが過ぎていった。

開幕戦の光景。等々力陸上競技場のポストを叩いた球体が直線的に跳ね返る様を見て、只事ならぬ予感に胸を躍らせた。幸いにもその予感は当たったが、それに続く物語の展開速度は想像の範囲外だった。彼は誰?彼はラコステのシャツを着た、異なる星に住む青年。彼はこの街を走り抜けた、一筋のつむじ風。



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different worlds [青赤喜怒「哀」楽]

喧騒の裏側で、事態は着実に進展していたようだ。本件に関心を示す民衆の大多数にとっておそらく望ましい方向へ、僕、そして僕と同じく森羅万象の最上層に青赤を位置させる人々にとってはその逆へ。数か月前には想像できなかった果てしなき喪失の予感。久保建英のいない夏が、梅雨空の先で待ち構える。

欧州移籍する暁には、そのクラブのレプリカユニフォームを購入しようと密かに考えていたが、この計画は完全に消失した。パトリック・クライファートの周りを「エル・コネホ」ハビエル・サビオラがちょこまかと走り回っていた時分より、ブラウグラナを追い続ける身には、さらに複雑なメレンゲの気持ち。



タグ:久保建英
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思い焦がれて [青赤喜怒「哀」楽]

専門紙・誌の枠を越えて、久保建英の動向が大きく報じられるようになってきた。動向といっても信憑性の乏しい「関係者によると」が軸となる伝聞調のさくぶん(他意あっての平仮名表記である)が主である。知名度の高い欧州ビッグクラブの名を嬉々と並べ連ね「至宝」の「限りない可能性」を書き立てる。

大多数を占める「部外者」にとって適度に踊り騒ぐにはもってこいのネタであろうが、獲られてしまう「当事者」側からするとたまったものではない。プロ意識・ジャーナリズム精神とは縁遠い無責任な文面に唾を吐き(それでも膨張する不安を打ち消すことはできぬまま)彼自身が発した言葉に救いを求める。

『FC東京の代表としてしっかり悔いのないように戦ってきたいと思います』退団を決意した選手が発するコメントとは思えない。「戦ってきたい」という表現も解釈を拡げると、一戦交えた後の帰還まで視野に入れての決意と受け取れる。思春期の恋愛感情にも似た感覚で、花びらを一枚、また一枚と千切る。

大分戦の幕引きとなった「ロングパット」を思い出す。転がり始めた球体が望まれる地点に到達するまでの数秒間、脳裏をよぎったメッセージ。答えを急いでも仕方がない、やがて与えられる結論を受け容れるほかない。18歳の誕生日を迎えた渦中の青年は豊田、宮城、そして南米へ。焦れる六月になりそうだ。




タグ:久保建英
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September [青赤喜怒「哀」楽]

一筋の弧を描いて、その厚い「層」を彗星が突き抜けていった。瞼の奥に焼きついた箒(ほうき)の残像を追いながら、人々は急激に熱を帯びた感情を思い思いに放散させていった。やがてスタジアムを包み込むEarth, Wind & Fireの名曲。幾度も繰り返された、5月のSeptember。

曲名は9月だが、描かれるのは男(もしくは女)が過ぎ去りし熱い夜を回想する12月の世界。そのチャントには如何なる願いが込められているのだろう。別離の予感が言葉にならない焦慮を煽る。「Do you remember?」9月、12月。久保建英という星はどの街の空で輝いているのだろうか。



タグ:久保建英
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ゴンフューズ [青赤喜怒「哀」楽]

あれから数日が経過したが、まだ釈然としない。経験則上このココロの混線が解消するまで最低でも一週間を要することを知っている。結果的に「相対取引」となった移籍。東京と鳥栖の新旧守護神対決は、両者が背負う同じ背番号を暗示するようなスコアで終わった。馬券だったら確実に買っていた組合せだ。

それにしても不思議な試合だった。スタジアムの至るところで波長が乱れているようだった。事態が発生してから行動を起こすまでの微妙な「時差」が気になった主審も、歪んだ空間を演出する一人だった。何処か遥か遠いところで笛を吹いていたのだろうか。前半のロスタイムはそこに置き忘れたのだろうか。

思い描いていたものとは少し構図が違ったが、権田修一が飛田給への帰還を果たした。体調と体調以外の多くを崩してしまった彼が、ここまでの回復を遂げたことを素直に嬉しく思う。ブーイングの大多数には愛と優しさが込められていたのではないかと解釈している。隣人の感情は隣人にしかわからないけど。

それでも、執拗に浴びせられたブーイングは、少なからず権田のハートに震動として伝わったのではなかろうか。二度に渡る致命的なミスで一時は鳥栖の敗戦を決定づけてしまった(そう、あの流れ、あの時間帯での3-1というスコアは、白または黒いずれかの石でほぼほぼ埋め尽くされた碁盤のようなものだ)。

想像という行為には幾ばくかの治癒的効能が含まれる。とても受け入れががががが(失礼、iPhoneにコイツをNGワード登録していたのを忘れておりました)とても受容できない破茶滅茶な同点劇だったが、権田の立場で考えると「こうなる以外なかった」結末だったのではと思いを巡らせるわけである。

あのまま試合に敗れていたら。万が一逆転勝利を収めていたら。権田は南北両方のスタンドに向かって挨拶ができただろうか。過去に踏ん切りをつけて未来へ歩みを進めるキッカケを作れただろうか。おそらくは一方のスタンドから、より攻撃性の強いメッセージが権田に向けて発されていたのではなかろうか。

権田は強い。権田は脆い。陰陽すべてをさらけ出して去る権田を壊さぬために、離別の儀式を成立させるために、何かの力が働き、何かの波長が乱れたのだとすれば。「四月馬鹿」の極みのような出来事を振り返るにあたり、僕はこんな整理しかできない。エイプリルフールに生じた混乱は依然収まっていない。



タグ:権田修一
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セカンド・オピニオン [青赤喜怒「哀」楽]

目眩を抑える薬、血圧を下げる薬。服用の仕方から投薬を止める時期といった処方詳細に至るまで、地元の医院で確認した内容がクアラルンプールで聞いた話と合致した。信用してなかったわけではないけどねと、中華系マレー人医師に心中詫びる。大切なことだから慎重に、複数の意見を確認・照合しないと。

苦杯でもなく惜敗でもなく。同日夜のガンバ大阪戦は、良くも悪くも血圧と脈拍に大きな変化を来さぬ内容と結果に終わった。勝ってるチームのほうが寄せが速くて、球際が厳しい。余程の幸運が重ならないかぎり、勝利を引き寄せるのは難しかっただろう。例のPKの場面も、嫌な予覚が当たっただけだった。

いつかは敗れるのだから。「良い負け方」だったのではないかと思う。妙なしこり、言い訳の材料を一切残さぬ敗戦であった。漁港で水揚げされてすぐ薄造りにされた真イカのように、透き通っていた。すべて見えた、見られてしまったと割り切って再構築する以外ない。他の選択肢がないことを利点と考える。

メディアが一斉に掌返しを始めるかもしれない。メディアとは、いわゆるマスと区分される媒体に加え、草の根のシロウト音源も含まれる。やれユニフォームを脱いで蹴った、エンブレムに対する冒瀆だと騒ぎたて、結果を出さない異分子だと叩き始める。この点については、追って私見を書き残したいと思う。

加入するなりのチーム批判。なかなかできるものではない。それだけの実績と責任感あってこそ、衝突を恐れず苦言を呈し続ける。PKを一本失敗したくらいで、そのスタンスは変えないでほしい。この展開でもロッカールームで仲間をおおいにドヤして頂きたいのだ。大久保嘉人への役割期待はそこにある。

ヨシトとは逆に、チームを離れることで強烈なメッセージを残した男がいた。寡黙な男だ、実際に何を語ったわけでもない。ただ、勝利への渇望感が他よりも抜きん出ていることは明らかだった。1-4のビハインドから89分に同点とした夢一夜、喝采を上げる同僚たちに、彼はひとり苛立ちを隠さなかった。

しばらくは、FC東京の同義語として大久保嘉人を主語とした報道が世を駆け巡ることになる。敗者からみた敗者の姿にはヨシトの言葉から思いを巡らせよう。他方、勝者からみた敗者の姿は?今野泰幸の目にはこの日の東京がどう映ったか。大切なことだからこそ慎重に、複数の意見を確認・照合したいのだ。



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