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手を繋いで [続東京向日葵日記]

札幌駅から乗った快速エアポートの車中で思い出した。今日がキミにとって大事な日、転校初日だったということを。大丈夫かな、過度に緊張してないかな、誇張した自己アピールに走って顰蹙買ったりしないかな。自分のこと以上に心配で、臆病になってしまう。空港に着いた後も、どうも落ち着かなかった。

大丈夫だと思う。奥様、つまりキミのママから受信したメッセージにはこう記されていた。緊張するどころか寝坊したらしい。エビデンスとして、大あくびをするキミの写真が添付されていた。僕、つまりキミのパパなんかよりずっと大物かもしれない。少し安心して、お土産のマルセイバターサンドを買った。

離陸後に動画が届いた(最近は飛行機の中でもインターネットを使える)。朝礼台の上から全校生徒に挨拶するキミの姿が映っていた。音声は拾えてないが、しっかりと話せたらしい。上空でサーモン丼を食べながら、イクラみたいな涙がボロボロこぼれた。開幕戦、カシマスタジアム以来のボロボロだった。

生誕に合わせて(正確には生まれてくる数日前に)作った青赤のネーム入りレプリカが、身体のサイズにフィットするまで大きくなった。叱られてもそれなりに反発するようになったし、将棋だと飛車角落ちでは簡単に勝てなくなってきた。「やべっちFC」から得たかなり詳細な業界情報を語るようになった。

ずいぶん成長したものだが、まだまだ子供らしい面を見せてくれるので安心する。ご近所になったスタジアムへ行くとき、駅で、道路で、自然と手を繋いでくるのが何気に(いや、随分と)嬉しい。もし一緒に入場できるなら林彰洋選手がイイと語る。呼び捨てにせずセンシュをつけて話すキミの姿勢が好きだ。

ケッコウ緊張したけどね。電話越しに教えてくれた、その先を聞かせてほしかったけど。如何せん「東京」は忙しい。今宵もまた遅い帰宅となってしまった。誰に似たのか、実にふてぶてしいキミの寝顔を確認。明日の朝も早いから、ヘタすると会えないかもしれないな。それでも大丈夫だ、週末が待っている。

数年来の我慢の末に、ようやく手に入れた幸せの週末。「揺りかごから墓場まで」軽々しく言えた言葉ではないけれど、実のところキミは有資格者なのだよ。なにせ出生届が出る数ヶ月前から、その名はソシオとして登録されていたのだからね。まぁ、難しい話はやめてスタジアムへ行こう。互いの手を繋いで。



タグ:林彰洋
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