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194(後篇) [シゴトよりも東京]

あと1センチで林彰洋に追いつくな。モニターの表示値にぼんやりそんなことを思う。世の事象をなんでもFC東京に重ねる癖は治ることがない(そもそも血圧の単位はセンチではない)。担架で救急車に搬入されたときは、ほんの一瞬ながら米国プロレス的世界を体感しているようで高揚した。気楽なものだ。

それでもさすがに様々な思いが過ぎる。東京復帰にあたり、脂の乗った中間管理職よろしく奮闘してやろうと決意を固めた直後、序盤から大きく躓くのかもしれない。万が一のことがあったら家族に申し訳ない。せめて息子の結婚式までは生きていたい。物凄く感動的なスピーチの草案は七割方できているのだ。

まもなく家族を迎える新居での日々。再びピッチへ舞い戻る石川直宏。息子の受験と海外留学。ピーター・ウタカの爆発的化学反応。新しいご近所さんとのバーベキュー。リーグ首位争奪戦で超満員の味スタ。奥様との老後悠々ハワイ生活。死ぬにはまだ早い。見届けなければならないものがあまりに多すぎる。

疲労とストレスと過度のアルコール摂取。聞き取りやすいマレー系英語で医師に告げられたのはこの三点だった。カイシャには前ふたつのみ伝えることとしながらも、中長期的に時間をかけて「アル中」になってしまったのだと悟る。たしかに飲まなくても済む酒まで飲んでいた(だって開幕二連勝だもんね)。

世の中には大きく分けて二種類の酒飲みがいる。ひとつは自分に何かをつけ加えるために酒を飲まなくてはならない人々であり、もうひとつは自分から何かを取り去るために酒をのまなくてはならない人々だ。(「ドライブ・マイ・カー」村上春樹)
しばらく青赤的喜怒哀楽を酒に重ねるのは自重しよう。反省。



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