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そして誰もいなくなった [青赤「喜」怒哀楽]

怒れる狙撃手、悩める救世主。脱いだユニフォームに対する不適切な行為、批判に晒された直後に迎える古巣との一戦。すべての視線がこの男に注がれ、すべての物語がこの男を中心に動いていた。数々の伏線が敷かれた後、互いに絡み合い混線したかと懸念されたが、実は一本の太い導火線に姿を変えていた。

ドラマのクライマックスは終演間際の数分間。千両役者は立派な舞台装置に満足せず、脚本・演出の細部にまでこだわる。導火線に火を点けたのは笑うアフリカン。長く伸ばした脚でワンツーのボールを返すさまは、マッチを擦る動作のように小気味よかった。着火2秒前、巨大な花火玉が彼の足下へ運ばれた。

爆発するスタンド、沸騰するスタジアム。少し遠慮気味に見栄を切ったこの夜の主役を、共演者たちが舞台の袖で十重二十重に取り囲む。それはまるで千秋楽のような大団円、気づけば舞台の上には誰ひとり残っていなかった。大久保嘉人を軸に描いた少し長めの序章、チャプター・ゼロはこうして幕を閉じた。

「This is awesome!」これぞ名場面、されど通過点。最高の結末を笑顔で堪能した人々も、ここまでが大河ドラマの予告篇に過ぎなかったと、やがて振り返ることになる。新たなキャスティングの舞台挨拶を終え、幕間をはさんで始まる新章・春の嵐。桜花咲く季節に物語は再び前進を始める。



タグ:大久保嘉人
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